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旅行業『登録』の手続

旅行業登録に必要な条件3

登録に必要な主な条件は3つです。

【条件1】登録の申請者が登録拒否事由に該当しないこと。

【条件2】旅行業務取扱管理者の選任を行う

【条件3】財産的基礎(基準資産額)をみたすこと。

【条件3】財産的基礎(基準資産額)をみたすこと。

 旅行業登録を行う上で登録業務範囲ごとに(旅行業法、旅行業法施行規則で)定められている「財産的基礎(基準資産額)」を満たさなければなりません。これは前回ご説明した登録拒否事由(旅行業法第6条第1項第10号)にも明記されています。

財産的基礎(基準資産額)とはなにか?〉
「財産的基礎」とはなにか?
簡単に言うと、
旅行業を営むために必要な最低限準備しなければならないの資産のことです。

旅行業において必要とされる財産的基礎のことを「基準資産額」といいます。

旅行業を営むためには、基準資産額を満たさなければなりません。そして、基準資産額を満たすことが出来ない場合は登録ができません。

 

旅行業についての「基準資産額」は、登録業務範囲毎に以下のように定められています。

『第一種旅行業』・・・3000万円

『第二種旅行業』・・・ 700万円

『第三種旅行業』・・・ 300万円

『地域限定旅行業』・・ 100万円 

※旅行業者代理業、旅行サービス手配業については、財産的基礎(基準資産額)は求められていません。

基準資産額は次の計算式で求めることが出来ます。

とはいえ、この計算式を見てすぐ理解できる人は少ないのではないでしょうか?

なぜなら、営業保証金、弁済業務保証金分担金など言葉の意味が分からないと、上の計算式は理解できません。
創業費や繰延資産といった言葉も、簿記の知識がない人にとっては、馴染みのない言葉。複雑で難しく感じることでしょう。

 

基準資産額の計算式を説明する前に、計算式にでてくる言葉について優先度の高い言葉からお話します。
はじめに、「営業保証金」「弁済業務保証金分担金」について。

  • 「営業保証金」とは
     旅行業者が倒産等の理由で旅行業者が旅行サービスを旅行者に提供できない場合、旅行者の保護を図るため(旅行者が支払った旅行代金を保護するため)、旅行業法では、旅行業者に「営業保証金」を「供託」しなければならないことを定めています。
    ※ 「供託」とは、国の機関(法務局等)である「供託所」に金銭等を預けることです。

    『営業保証金』は旅行業務に関する旅行者との取引額に応じて供託する金額が、決まります。


    売上が増えれば、その分供託する額も増えますし、逆に売上が減れば供託する額も減ります。

    「営業保証金制度」は、旅行業者が倒産などの理由で旅行者がツアーを利用できなかった場合、旅行業者が「供託」している「営業保証金」の範囲内で旅行代金を払い戻す制度です。(詳しくは「営業保証金制度」へ)

    ただし、損害を受けた全旅行者の旅行代金の総額が、営業保証金額を超える場合、営業保証金額の範囲内で請求額に応じて配分されます。そして、必ずしも旅行代金の全額が払い戻しされるわけではなく供託している金額の範囲内でのみ払い戻しが受けられるということになります。

     

 下の表は、旅行業法施行規則に定められている営業保証金の額の一例です。
(別表第一のみ)

 別表第一

前事業年度における旅行業務に関する旅行者との取引の額(第6条の2第1項に掲げる場合にあつては、同条第2項に掲げる額)

営業保証金の額

第一種旅行業の登録を受けた者

第二種旅行業の登録を受けた者

第三種旅行業の登録を受けた者

地域限定旅行業の登録を受けた者

            400万円未満7000万円1100万円300万円15万円

  400万円以上

5000万円未満

7000万円

1100万円

300万円

100万円

5000万円〃

2億円〃

7000万円

1100万円

300万円

300万円

2億円〃

4億円〃

7000万円

1100万円

450万円

450万円

以下続く

次は弁済業務保証金分担金です。

  • 「弁済業務保証金分担金」とは
    営業保証金一覧の表をご覧になればわかるのですが、営業保証金を供託する場合、第一種旅行業の場合は7000万円、第二種旅行業の場合は1100万円と、金額的にかなり高額な額を供託しなければなリません。
    これは旅行業を営もうという事業者様にとって大きな負担です。

     そこで、観光庁長官が指定する「旅行業協会(日本旅行業協会又は全国旅行業協会)入会し、旅行業協会の正会員(保証社員)となり、営業保証金と同じ性格を持つ弁済業務保証金分担金」旅行業協会に預けることで、預ける額が営業保証金額の5分の1で済み、旅行業開始時において負担が軽減されます。「弁済業務保証金制度」)。

    「弁済業務保証金制度」は、旅行業者が旅行業協会に入会し、営業保証金の5分の1の額にあたる「弁済業務保証金分担金」旅行業協会に預けます。旅行業協会はこの分担金を一元的に弁済業務保証金として国の機関へ「供託」し、旅行業者の倒産などの理由で旅行者がツアーを利用できなかった場合、保証社員相互で本来の営業保証金に相当する額を連帯保証させる制度です。

     

 まとめると、旅行業協会に入会し、営業保証金の5分の1の額に当たる弁済業務保証金分担金を預けることにより、営業保証金に相当する額の保証ができ、旅行業開始時における資金の負担を軽減することができるのです。
 ただし、損害を受けた全ての旅行代金の合計金額が、弁済限度額(保証社員が納付している弁済業務保証金分担金の額の5倍の金額)を超える場合、弁済限度額の範囲内で請求額に応じて配分されます。 つまり、旅行代金の全てが払い戻しされるわけではなく、弁済限度額の範囲内でのみ払い戻しが受けられるということになります。​

その他の言葉についてもお話します。

  • 「資産」とは
    資産とは、保有する全財産のことです。現金、預金、株式、債権、土地等。
    ただし、基準資産額を計算するにあたり、資産のすべてが認めれるわけではなく、個人と法人の場合は以下のとおりになります。

    〈個人の事業者として旅行業登録を行う場合〉
    資産として計上できるのは、預金残高証明書等によりその額を確認できるもの。

    〈法人として旅行業登録を行う場合〉
    資産として計上できるのは、申請前直近の事業年度における確定決算書の資産額(不良債権等を除いたもの)。

     
  • 「営業権、繰延資産(創業費)、不良債権」とは
    「営業権」とは、企業が持つブランド力(潜在的企業価値)というとイメージが湧きやすいでしょうか。例えば、700万円の価値を持つA企業をB企業が買収します。B企業はA企業に対して1000万円の対価を支払いました。B企業は、A企業が持つノウハウや顧客も引き継ぐことが出来るという価値に対して300万円多く対価を支払ったのです。この300万円の差額を超過収益力といい、これは資産上、「営業権」として計上できるのです。営業権は「のれん」とも言われます。


    「繰延資産」とは、本質はあくまでも費用です。例えば、開業費用。これはこれから何年経営できるかわからない事業への投資のようなもの。これをすぐ経費の扱いとせず、期間を決め経費扱いにします。会計上は「繰延資産」という名目上は資産として扱い、期間を決め償却(返却)してきます。


    「不良債権」とは、回収が著しく困難、または回収不能の「貸したけど予定通りに回収できていないお金のこと。一年以上回収出来ない貸付金や売掛金、未収入金等で回収不能の債権です。

財産的基礎(以下:基準資産額)について、これまでのお話が飲み込見づらいという方も多いはず。実際私も理解するのに時間がかかりました。なので、これから例を挙げてお話したいと思います。
 基準資産額を算出するにあたり、「営業保証金を供託」する場合、または「旅行業協会に入会し、弁済業務保証金分担金を納付」する場合という2つの方法にわかれます。基準資産額の算出方法が異なります。


※旅行業協会についてはこちら。

〈「営業保証金」を供託する場合(弁済業務保証金分担金を預けない場合)〉

(例)第二種旅行業登録

  • 資産が2,500万円
  • 負債300万円を条件とする基準資産額の算出


下の表の各項目の額を計算式に照らして計算をしてみます。

『基準資産額 』=
(資産総額 A) 2,500万円 -

(負債の総額 E)  300万円 -

(営業保証金 F)1,100万円

上記を計算すると、『基準資産額』=1,100万円。

第二種旅行業登録に必要な基準資産額は700万円です。
上記の場合1100万円>700万円ですから、第二種旅行業登録に必要な基準資産額の700万円を満たすことが出来ています。

これで「営業保証金」を供託する場合の財産的基礎(基準資産額)を満たすことが出来ました。

〈「弁済業務保証金分担金を納付する場合」(営業保証金を供託しない場合)〉

(例)第二種旅行業登録

  • 資産が1,500万円
  • 負債300万円を条件とする基準資産額の算出


下の表の各項目の額を計算式に照らして計算をしてみます。

『基準資産額』=
(資産総額 A)1,500万円-

(負債の総額 E)300万円 -

(弁済業務保証金分担金)220万円
上記を計算すると、『基準資産額』=980万円。

〈営業保証金を供託する場合〉と〈旅行業協会に入会し、弁済業務保証金分担金を納付する場合〉のそれぞれの表の項目Fを比較してみると、営業保証金が1100万円に対し、弁済業務保証金分担金はその額の5分の1の220万円になっています。

第二種旅行業登録に必要な基準資産額は700万円です。

上記の場合、980万円>700万円ですから、基準資産額を満たしていることになります。
これで「弁済業務保証金分担金」を納付する場合の財産的基礎(基準資産額)を満たすことが出来ました。

※基準資産額が足りない場合

登録手続き準備の際、基準資産額を確認すると所定の額に足りない場合があります。その場合、一番手っ取り早い方法は資本金の増資を行うことでしょうか。
 ただ手っ取り早いといっても増資を行うには、資金はもちろん手続きにもお金がかかります。

旅行業登録を行う際には、十分にその点を考慮のうえ準備する必要があります。
基準資産額が足りない場合についてはその他にも方法がありますのでご相談いただければと思います。

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